プロフェッショナル・エンジニア(Professional Engineer:略称P.E.)は、1907年にアメリカのワイオミング州で創設されたエンジニアリング業務を遂行するための公的資格で、全米各州で公認されている資格です。PE制度は、1907年にワイオミング州で法制化されたのを起源としていますが、同制度が創設されたのは「エンジニアは建築物に対する公共の安全・人命の尊重・社会の福祉に奉仕すべき」という考え方があったからです。
このPE制度は、その後同じ理念をもった他の州にも広がり、現在では全米50州とワシントンDCやグアムなど5地区・テリトリーで導入されています。PEの登録は各州の法律に基づいてなされており、受験資格や登録条件は州によって微妙に異なりますが、試験については、全ての州でNCEES(全米工学測量学試験委員会)が作成した問題が採用されており、ほぼ同じ内容のものが出題されています。その結果、PEはナショナル・ライセンスとなっているのです。
現在、アメリカでこのPE登録をしているエンジニアは約40万人と言われています。PEの資格取得者は技術的な能力だけでなく、倫理観と責任感も強い人物であると評価されることから、社会的なステータスも高く、一般に高収入が保証されています。
アメリカでは工学系の大学を卒業しても、それだけではエンジニアとしては認められません。PEの資格をとってはじめてエンジニアとして認められ、高収入を得ることができるのです。また公共の安全に関る業種や業務においては、PE資格の取得者に業務独占権(専管事項)が与えられており、この点が、PEが医師、弁護士、公認会計士と並ぶ4大ナショナル・ライセンスの一つとして社会的に評価されている理由となっています。日本ではこうした業務独占権を持っているエンジニア資格は一級建築士などに限られていますが、米国では土木、化学、電気、機械など幅広い工学分野で認められています。ただ、業務独占権の範囲も州によって違いがあり、この点は登録条件や受験要件が州によって異なるのと同様です。
以下では、ハワイ州、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州を例に受験要件などの違いを比較してみます。州によっては、外国人の受験が容易なところと厳しいところがありますので、FE試験やPE試験を受験しようと考えていらっしゃる方は是非参考にして下さい。

@FEの受験要件
まず、PEの1次試験あたるFE(Fundamentals of Engineering)の受験要件について比較してみましょう。
PEの受験資格を取得するには、原則としてFE試験に合格することが求められますが、FE試験もまた一定の条件をクリアしていないと受験資格が得られません。その条件は州によって微妙に異なりますが、全米でほぼ共通しているのは、ABET(工学技術認定委員会)が認定した4年生工学教育プログラム(日本で言えば学科ごとの認定)の修了者または終了見込者はほぼ無条件で受験資格が得られるということです(ただし、認定を受けていない4年生工学教育プログラムの修了者や短大卒業者および高校卒業者でも州ごとにさだめた一定条件をクリアすれば、受験資格が得られます)。
カリフォルニア州

前回はハワイ州について説明しましたので、今回はカリフォルニア州について説明します。カリフォルニア州では、@ABETが認定した工学教育プログラムを3年以上修了した者、またはA試験委員会が認定した3年以上の実務経験を持つ者がFE試験の受験資格を与えられます。ハワイ州のように米国の市民権か労働許可証を持っていることは要求されず、外国人でも容易に受験することができます。推薦状も必要ありません。ただし、受験申請者は社会保険番号または納税番号を記した書類を提出することが求められます。
また、工学教育プログラムの修了要件については、ABETが認定したプログラムに限っており、他のワシントン・アコード加盟国の教育プログラム修了者にはFEの受験資格を今のところ認めていません。したがって、外国人の場合は、米国で工学教育を受けた者には広く門戸が開放されていますが、米国以外の国で工学教育を受けた者には受験の道が閉ざされていると言ってよいでしょう。
次回はワシントン州の受験要件について説明します。

ハワイ州

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